ログインテネレッツァは、呆然としていた。なぜなら、いきなり目の前にいたはずの魔物がすべて消し飛び、魔物がいたはずの場所には四人の女性が立っているのだから。
「エリカァーーーー!」
「またお会いましたね。まあ私は会いたくなかったですが。」
私はヴィゴーレ様に聞いた。
「もしかして、あの人たちが?」
「ああそうだ。あの方たちがこの国最強の四神と呼ばれる者たちだ。」
炎魔法を操る炎神ベロニカ
風魔法を操る風神サーニャ
雷魔法を操る雷神ルニア
固有魔法である大地操成魔法を操る草神
エリカ
この四人の前には、誰も敵わないという。
「さて、今度はきちんと始末して差し上げましょう。」
「どうする?燃やす?」
バダゴーラが不敵に笑った。
「そんなことを相談している暇あるかな?なあ、ヴィゴーレ?」
すると、テネレッツァに向かって、魔法が放たれた。テネレッツァがとっさに避けようとしたが、
「ふん!」
ヴィゴーレが剣で叩き切った。
「危ないなあ。子供を狙うなんて」
その間に、サーニャが、
「フィードバーニア。」
バダゴーラに向かって、上級魔法を放つ。
「ぐふっ。」
「あら、結構きくのね。」
「なあエリカ、あいつの倒し方あるんでしょ?」
ルニアがエリカに聞いた。
「奴の体にある、四つの核をそれぞれ違う魔法で同時に破壊する。それしかないね。」
「しかも、あいつ物理攻撃聞かないんだろ?」
ヴィゴーレも続けて問いかける。
「本当に、なんでだろうねぇ。」
と言いつつも、どんどん魔法を打っていく。だがあまり効果はないようだ。
「くそっ。あいつ意外と早いから、魔法当たんねぇぞ。」
そういいながらも、魔法を打ち続けるベロニカ。
「あいつの動きを止めることさえできたら」
テネレッツァが、何か思いついたように、ヴィゴーレ様に聞いた。
「動きを止めればいいですか?ヴィゴーレ様」
「ああ、奴の動きを止めることさえできれば、四神の上級、神級魔法で仕留めることができるはずだ」
テネレッツァは、私に任せて、と言わんばかりの返事をした。
「わかりました。」
そう言って、テネレッツァは、魔法の準備を始めた。
「なにをする気だ?」
ベロニカがそう聞いてくる、
「ただ、動きを止めるだけですよ」
魔法の準備が終わるとテネレッツァは、魔法を発動した。
「コンジェラーレ(瞬間凍結魔法)、アースバインド!」
バダゴーラの体が一瞬凍り付き、その間に、地面から生えた根がバダゴーラを捕まえていく。
「そう長くは持ちません。早くお願いします!」
四神様にそうお願いする。
「任せて!」
四人が同時に魔法を発動した。
「インフェルノ!」
「ウィンドバースト!」
「ラインドバースト」
「大地操成魔法! スオーロバーニア!」
四人の魔法が同時に奴の核に向けて飛んで行った。
ベロニカの魔法は腹の核に。
サーニャの魔法はのどの核に。
ルニアの魔法は胸の核に。
そしてエリカの魔法は頭の核に。
同時に命中した。
「ぐあぁぁぁぁぁーーーーーーーー!」
おぞましい悲鳴が王都中に響いた。
「やったのか?」
ヴィゴーレがそう聞く。
「おそらく」
エリカ達がそう答えるとヴィゴーレが叫んだ。
「やったぞ!」
「我らの勝ちだ!勝鬨を挙げよ!」
「「「「「「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁー―――」」」」」」」」」」」」
あふれんばかりの歓声が王都を包み込んだ。
「ふう、これでひとまずしばらくは安泰か?」
ヴィゴーレが息を整えながらも、四神の一人である、エリカに聞いた。
「おそらく大丈夫でしょう。しかし、王都が結構壊されてしまいました。この混乱に乗じて他国が攻めてこないように、しばらく警戒しなくてはなりませんね。」
みんなが勝利の余韻に浸っている中、奥では、テネレッツァが一人佇んでいた。
「私は、なにかできたでしょうか?」
そう呟いていた。
うしろから優しい声が聞こえる。
「あなたは、最大限の活躍をしてくれましたよ。」
振り向くと、そこにはエリカが微笑みながら、立っていた。
そして、優しく頭を撫でてくれえた。どこか、母に似ている、その手に涙が出そうだった。
そこにヴィゴーレがやってきて言ってくれる。
「お前は、持てる力を最大限発揮して、みんなの役に立ってくれた。そう謙遜しなくてもいいぞ。」
みんなで、笑っていた。
「私は、一足先に本部に戻り、負傷者の治療をしてきます。」
「頼んだぞ。サーニャ」
「そちらこそ、後始末をお願いします。ヴィゴーレ。」
「ああ、任せておけ。」
サーニャが去っていくと、ヴィゴーレが、目の前の光景を見て言う
「さて、なにから片付けるかねぇ」
エリカが気の抜けた声で言う
「やっぱり魔物の死骸でしょう。」
と言ってヴィゴーレがバダゴーラの死骸に手を伸ばそうとした時だった。
「がは」
ヴィゴーレの腹に鎌が突き刺さっていた。
全員が驚きを隠せなかった。
「勝利の余韻に浸るのが早すぎたのではないか?なあ、エリカよ。」
バダゴーラが、不気味に笑いながら言う。
ああ、そうですね。ほんっとに、こいつはいつも的確に急所を突いてくる。12年前も今も。
エリカはそう思いながら言う
「なぜだ、なぜおまえが生きている。バダゴーラ!」
「なに、簡単な話さエリカ。我の核は、4つではない。5つあるのだよ。」
全員の顔が絶望に染まっていった。
「このヴィゴーレとかいう奴は生かしておくと後々めんどくさそうなのでな。先に殺しておくことにしたのだよ。」
ヴィゴーレが、エリカに死にそうになりながらも告げた。
「エリカ。私の、ことはい、い。早くテネレッツァを連、れて逃げ、ろ。そしてもう一人四神級の魔法、が使える者を探せ。 ぐふっ。」
バダゴーラの鎌が深く刺さっていく。
「嫌だ。ヴィゴーレ様を置いてなんか行けない!」
テネレッツァはこの場に残ろうとするがエリカに止められた。
「馬鹿なこと言わないで!あなたがいても足止めしかできないでしょう!」
エリカがそう叱責するが、テネレッツァは逃げようとしない。
「それでも!」
「くっくっく。仲間思いとは辛いものよう。」
バダゴーラがヴィゴーレに刺さっていた鎌を抜き、もう一度構えた。
「さあ、おまえたちの面前で殺してくれよう。ファントムデスサイズ!」
鎌がヴィゴーレに触れそうな瞬間だった。
(誰も、失わせはしない。誰かのために、この命を捨ててでも!)
その瞬間、テネレッツァが眩い光に包まれた。
バダゴーラも思わず手が止まってしまう。
光が消えた所には、テネレッツァに似た誰かが立っていた。
髪が少し短くなり、男のような顔つきになった。頭の額からは、小さい角が二本生えている。
「なんだ。なんなんだ貴様は!」
「テレポート(瞬間移動魔法)」
バダゴーラの前から、テネレッツァが消えた。
「どこだ。どこに行った!」
「後ろだよ。 インフェルノバースト!」
バダゴーラが業火に包まれる。
「ぎやぁぁぁ」
「なにがそれぞれ違う魔法で核を壊さないといけないだ。全部同じ魔法で壊れるじゃないか。」
バダゴーラがもがき苦しむ。
「どうせ最後の核は背中の背骨の中に隠してあるんだろ。 燃えて焼けて苦しみながら死ねぇぇーーー!」
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁ―――」
バダゴーラは完全に消滅した。
遠目から見ていた、四神のベロニカが驚いたように言う。
「嘘だろ。あいつ本当に何者だ」
エリカはそれに焦ったように言う
「今はそれどころではないでしょう。ヴィゴーレの治療を!」
ベロニカとルニアとエリカが駆け寄るとそこには、姿が戻ったテネレッツァと横わたるヴィゴーレがいた。
「ヴィゴーレ様、ヴィゴーレ様!」
テネレッツァが、必死にそう叫ぶ。
ヴィゴーレが、今にも死にそうな声で、こう言った。
「テネレ、ッツァ、お前に、渡すも、のがある。お前の母が託、したも、のだ。このノートは、覚悟でき、たとき読むといい。 そしてこれは、、、」
ヴィゴーレはポーチから一丁の銃を出した。
銃身が長く50cmはあるだろうか。なにやら覗くものもついている。
「これは、私が雄一使、えなかっ、た武器だ。
名をプーラ・エルドゥーラと、言う」
続けて声を振り絞って言う
「なあ、テネレッツァ。」
「なんですか。ヴィゴーレ様。」
今にも泣きそうな声でそう聞き返した。
「この武器、をお前に託す。だ、から、だから、私からの最後の、願いだ。
この武器、を極めてくれ。そ、して、あ、い、つ、に、、、」
そこまで言うとヴィゴーレは目を閉じた。
「いやぁぁぁ! ヴィゴーレ様ぁぁぁぁ!」
テネレッツァはこの日初めて泣き崩れ、この日初めて、かけがえのない家族を失った。
そして数時間後
騎士団や冒険者たちが、魔物の死骸を片付けていた。
「その子はどうするの?サーニャ」
テネレッツァは、泣きつかれて眠ってしまい、サーニャに抱えられていた。
「とりあえず、王城のうちの部屋で休ませておきましょう。」
「そうね。この子にとっては、大事な家族だったものね。」
二人で、テネレッツァの泣きつかれて寝ている顔を眺めながら、そう話していた。
3日後、復興が進む王都で、ヴィゴーレの追悼式が行われた。
そこには女王であるクロノアや四神の姿があった。
「妾は、また一人大事な人を失ったのだな。」
一人悲しそうにクロノアは、呟いていた。
それを覆い隠すように、教会の鐘が響いている。
さらに、1週間後、
テネレッツァは、王城の一室で目を覚ました。
「あ、目が覚めたのね、テネレッツァ。あなた10日も眠っていたのよ。」
エリカが続けて言う。
「泣き疲れていたのもあるけど、あの不思議な力を使ったのもあるでしょう。」
そして、テネレッツァが何か言おうとしていたのを感じ取ったエリカは、言いにくそうに、言う。
「残念ながら、サーニャが来た時にはもう、、」
泣きそうになるテネレッツァに、エリカが優しく抱きしめてくれた。
「テネレッツァ、あなた何で喋らないの?」
(声が、声が出ない。)
テネレッツァは、答えることができなかった。
そう彼女は、先の戦いでのショックで声が出なくなっていたのだ。
王城の一室にて。
「あの子は今どうしておる?」
クロノアの問いに、エリカが答えた。
「今はうちの部屋で寝ているわ。だけど、、、」
エリカは言いにくそうにしながらも続けた。
「あの子、あの時のショックで、声が出せなくなったのよ。」
その場にいる全員が驚いた。
「確かに、まだ13歳という若さで、自分の母親を失ったのと同じだからね。」
サーニャがそう言うと、ルニアが続けていった。
「あと、自分のことも責めているのだろう。彼女は、「自分のせいで、自分が回復魔法を使えれば」と思っているじゃないかな?」
そう言ったルニアにサーニャが反論する。
「だけど、それは嘆いても仕方がないことよ、人には使える魔法と使えない魔法があるのだから。」
すると、いままで黙っていたベロニカが口を開いた。
「あの子の処遇はどうするの。女王陛下?」
クロノアは、以前から考えていたのか迷いなく言った。
「あの子の本当の母親が見つからないからのう。処遇は考えてはいる。だけどその結果をみんなが許してくれるかどうか分からん、、、。」
四神みんなが同意したようにうなずき、そして言った。
「私は、女王陛下の決めたことに従いますよ。」
「私も、エリカの意見に同意する。」
「私も。」
「私もよ」
クロノアは安心したように言った。
「みんなありがとう。では、あの子をうちの養子にしようと思うのじゃ。よいかの?」
全員が驚きを隠せなかった。
それもそのはずだ。平民の子をいきなり王族の子にしようというのだから。
「それは、いいと思いますが。あの子がいいというかどうか、、、」
エリカは心配しているようだ。
そこにルニアが、
「まあまあ、とりあえずあの子に聞きに行きましょう。」
それに続けてクロノアも言った。
「そうだな、あの子のところに行くとしよう。案内してくれ、エリカ。」
5人でテネレッツァの部屋へと向かう。
すると部屋から騒々しい音が聞こえた。
「テネレッツァ、起きたのかな。 いやでも、あの子は喋れないはず。」
そんな風にエリカが言っていると
ドガァーーーーーン!!
部屋の中から爆発音が聞こえた。
この王城は最高品質の建材に加え、サーニャ様の結界魔法も張られているのでそう簡単に壊れることはないが、それでもすごい衝撃だった。
「何事だ!」
エリカが勢いよくドアを開けると、そこには震えあがっているテネレッツァと見るからに暗殺者であろう人物が立っていた。
「ちっ。ばれたか。まあいい。全員まとめて殺せばいい。」
暗殺者はそう言うと魔法を唱えた。
「ステルス(隠匿魔法)」
姿が消え、私たちの周りを取り囲むように手裏剣が宙に浮いている。
「まずは、この鬼竜の生き残りから始末してやろう。シャドウアサルト!」
無数の刃がテネレッツァに飛んでいく。
エリカが守ろうとしたが、間に合わず、テネレッツァの体に無数の手裏剣が刺さった。
「テネレッツァーーーーー!」
クロノアが心からそう叫んだ。
「死んでしまったのか?」
みなにそう問いかける。
「わかりませんこの煙が晴れないことには、何も見えません。」
「サーニャ、フィードを」
そういわれるとサーニャは「フィード」を唱え、霧をかき消した。
そして、煙の晴れたその場所には、無傷で座っているテネレッツァがいた。
「なぜだ、なぜ無傷でいる。確実に命中したはず。」
テネレッツァの後ろから一匹の猫がでてきて
人間へと姿を変えた。
「貴様、何者だ?」
その女性は、不機嫌そうに答えた。
「あなたに名乗る名などありません。」
暗殺者は後ずさりしながらこう言った。
「これは、多勢に無勢だな。まあよい。また貴様の命を狙いに来てやる。」
四神が暗殺者を取り押さえようとしたその時、暗殺者は窓から飛び降りた。
急いで窓から外を見るとそこに暗殺者の姿はおらず、濃い霧が暗殺者を包み隠すように渦巻いていた。
「馬鹿な、どこへ。」
サーニャが窓から身を乗り出していると、ベロニカがサーニャの腰を掴んで止める。
「危ないよ、姉上」
その場には、四神とクロノア、そして横わたるテネレッツァと謎の女性だけが取り残されていた。
「おーい大丈夫か?」
ベロニカが優しくテネレッツァを起こすとテネレッツァ首を縦に振っていた。
その横では、謎の女性がほかの人たちに取り囲まれ、質問攻めにされていた。
「あんた何者だい?」
「どうやってここまで入ってきた?」
「なぜ、テネレッツァはあれだけの攻撃を受けて無傷なんだ?」
エリカ、ルニア、サーニャが質問を飛ばしている。
次々に飛んでくる質問に謎の女性は一つずつ答えていった。
名はエルバフィーア、風の上級精霊で、ヴィゴーレの従者だったらしい。ヴィゴーレに、「私が死んだらテネレッツァの面倒を見てくれ、」と言われ、今日まで、陰ながら守ってきたとか。
どうやって入ってきたかと言うと、風の魔法で自分の周りを取り囲み風のようにして入ってきたとか。
テネレッツァが無傷なのは、風魔法であの子の周りを囲ったから。
エルバフィーアはため息交じりに
「これで質問は以上ですか?」
と言いながら、テネレッツァの頭を撫でていた。
すると、テネレッツァが目をさました。
その顔を見るに、滅茶苦茶混乱しているようだった。
それもそのはずだ。いきなり暗殺者が襲ってきて、気を失ったかと思えば、気が付いた時には、暗殺者はおらず目の前には、壁には傷ついていないのに物が散乱し、目の前には見たことのある女性と、この国の重鎮が勢ぞろいしているのだから。
クロノアが心配しながらも言った。
「とりあえず、部屋を移すとしようか、妾からも話したいことがあるしのう。おい、この部屋を片付けておいてくれ。」
後ろに控えていた、メイド達が静かに頭をさげ、下がった。
「では、行くとしようか。」
テネレッツァは、エルバフィーアに引っ付き、静かに頷くだけだった。
テネレッツァは、呆然としていた。なぜなら、いきなり目の前にいたはずの魔物がすべて消し飛び、魔物がいたはずの場所には四人の女性が立っているのだから。「エリカァーーーー!」「またお会いましたね。まあ私は会いたくなかったですが。」私はヴィゴーレ様に聞いた。「もしかして、あの人たちが?」「ああそうだ。あの方たちがこの国最強の四神と呼ばれる者たちだ。」炎魔法を操る炎神ベロニカ風魔法を操る風神サーニャ雷魔法を操る雷神ルニア固有魔法である大地操成魔法を操る草神エリカこの四人の前には、誰も敵わないという。「さて、今度はきちんと始末して差し上げましょう。」「どうする?燃やす?」バダゴーラが不敵に笑った。「そんなことを相談している暇あるかな?なあ、ヴィゴーレ?」すると、テネレッツァに向かって、魔法が放たれた。テネレッツァがとっさに避けようとしたが、「ふん!」ヴィゴーレが剣で叩き切った。「危ないなあ。子供を狙うなんて」その間に、サーニャが、「フィードバーニア。」バダゴーラに向かって、上級魔法を放つ。「ぐふっ。」「あら、結構きくのね
「今日の魔物討伐はスライムと魔物蜂だ」スライムはぷよぷよした体の魔物で、魔物蜂は、15㎝くらいのでかい蜂である。「魔物蜂は、毒があるから注意な。」今回、ヴィゴーレは後ろから見ているだけで、実際に倒すのは、私である。少し怖いが、強くなるためだ、と言ってナイフを渡された。「えい、やー」スライムにナイフを切りつけて倒そうとするが死なない。「スライムの中に核があるだろ。そいつを狙え。」核を狙ってナイフを一突き、見事に命中し、倒すことができた。「お見事。魔晶石が落ちるだろ?それが依頼達成のために必要なものだ。」拾ってポーチに入れる。「この調子でどんどん倒していこう。次は魔物蜂だ」同じように核を狙って突くが、中々当たらない。「よく見極めるんだ。急所を」じっくり観察する。相手の行動、突かれたくない場所を。「ふん!」一撃で仕留めた。「おお、お見事今のは短剣スキルのひとつ急所突きだな」この世界には、魔法適性ともう一つ武器スキルというものがあるらしい。その武器を極めたものは、ドラゴンすらも一人で倒せるという。「お前、弓を使いたいんだってな。持ってるのか?」「はい、母さんからもらった弓があります。」ポーチから一丁の弓をだした。「うん?お前それって、、、」
「さあ行こうか、冒険者ギルドに。」二人で、ギルドまでの道のりを歩く。普段と変わらない道のりなのに、なんだか寂しい気持ちになる。ギルドにつくと、ヴィゴーレ様はもう来ていて依頼掲示板を見ていた。こちらに気づいたらしく「おはよう、テネレッツァ。今日は誰か連れてきたのかい?」「はい、うちの母さんです。母さんがヴィゴーレ様に話があるらしくて」「初めまして。テネレッツァの母です。」「こちらこそ、ヴィゴーレだ、よろしく。話があるそうだな。」「はい、できれば二人で話したいのですが。」ヴィゴーレは少し考えた。(二人で話すのは構わないが、テネレッツァを一人にすると前みたいに絡まれるかもしれない、どうしたもんか)「召喚。エルバフィーア」赤ちゃんくらいの大きさの緑と薄い肌色をした猫のような魔物が出てきた。私は、目を輝かせて「なんですか。この可愛い動物は。抱っこしてもいいですか?」「抱っこしててもいいから、少し二人で待っておけるかい?」「わかりました。」(ん?二人?)遠目から見ると微笑ましい光景が目に入った。テネレッツァがエルバフィーアをものすごくかわいがっている。見ているこっちが癒されそうだ。「おっと、では本題に入ろうか。テネレッツァのお母様いやヴェリミーア様?」「やっぱり、気づいていましたか。」「話したいことというのは、そのノートのことかい?」「はい、このノートを来たるべき時が来たときあの子に渡してください。それと、これから私の代わりとしてあの子を、テネレッツァを支えてください。」いつになく、丁寧に話をするヴェリミーアは、覚悟を決めたような顔つきをしていた。「あんたなら、大丈夫だろ。あそこに行くんだろ?せいぜい気を付けていくんだな。」二人の話が終わって再びテネレッツァのところに行くと案の定また絡まれていた。だが、今回は違う。緑色の長髪で身長の高い女性がテネレッツァをかばっていた。「そこをどけって言ってんだよ。てめぇみたいな女に興味はねぇ。そこのクソガキに用があんだよ。」あいつはこの前も絡んできたガンドラとかいうやつだっけ。まあ、あいついるし大丈夫だろ、とか思っていると「あなたたちに用はないそうですよ。とっととお引き取りください。筋肉バカさん?」「てめぇ、いい度胸だな。おめえから教育してやんよ!」ガンドラの拳が女性に届きそう
戦闘はすぐに終わった。だが周りにはたくさんの負傷者がいたそれに見かねた私は、ヴィゴーレ様に、「全員に回復魔法をかけてもいいですか?」と聞いてみた。「お前、回復魔法もつかえるのか?まあ、別に構わんが。」耳元で囁くように続けて言う「あまり、力は露見させない方がいいぞ。これは忠告だ。力の使い方には気を付けた方がいい」ちょっときつい言い方で言ってきた。けれども、頭をくしゃくしゃに撫でられた「だがその人を思いやる心は素晴らしい。思いやりすぎて、自分の命を無駄にしないようにな。」と豪快に笑いながら言っていた。すると、不意に馬車のドアが開かれ、侍女に連れられて、二人の少女が下りてきた。一人は、私と同じぐらいの身長だろうか、薄い銀色の髪をした、可愛い女の子だった。もう一人は、私より少し身長が高く、凛とした姿の桃色の髪をした、言うなれば絶世の美少女である。しかも何というか、すごい偉そうな服を着ている。「テネレッツァ、頭を下げな。王の御前だ。」「えっ」と思いながらも、ヴィゴーレ様に倣って頭を下げた。「よいよい、頭を上げてくれ。おぬしらは妾の命の恩人なのだからな。」「御冗談を。あんな魔物、クロノア様であれば一人で倒せたでしょうに。」(え、ヴィゴーレ様、この国の王様とお知り合いなの?)心の中で、そんなことを考えていると横から、「先ほどは、有難うございました。ヴィゴーレ様がいなければ、どうなっていたことか。」「いえいえ、アリューシア公爵令嬢もご無事で何よりです。」全く話についていけない私に「テネレッツァ、こちらはクロノア・ローズ・テンペンシア女王陛下、そしてその隣におられるのがアリューシア・ルーズ・サンタリア公爵令嬢だ。」開いた口が塞がらないとは、まさにこのことなんてたって王国の最上位貴族と王族が目の前にいるのだから。さらに、私は貴族階級について何もわからなかった。「公爵って?」「公爵ってのは、王族を除く貴族階級の中で一番位が高い貴族のことだ。」「へ?」まだ、開いた口が塞がらないでいると、「クロノア様とアリューシア様は何故このような場所に?」「私がお忍びで、アリューシアの父の治める領に遊びに行っておったのじゃよ。」「そして、旅程が終わって王都に戻ろうとしたらあのような事態に。」クロノア様はともかく、アリューシア公爵令嬢はまだ怖がって
「おーい、朝だよー。」そんな元気な声でテネレッツァは目を覚ました。今年で12歳となる少し目が細めのショート髪の女の子のテネレッツァは朝からとてもそわそわしている。「こらこら、そんな早く食べないの、のどに詰まっちゃうでしょ。はい水を飲む。」「ごめんなさい母さん、今日から冒険者になれると思ったら我慢できなくて」そう、この国「テンペンシア連邦国」では12歳から、冒険者になったり、職に就いたりすることができる。また、学校は14歳から行くこともできる「行ってきます!」そんな元気な声で言いながらテネレッツァは、冒険者組合である王都冒険者ギルドに行った。冒険者ギルドは王都の入り口近くにある。どうやら、大きな魔物や魔獣を狩ってきたときに、運びやすいように、とゆうことだそうだ。冒険者ギルドに着き、扉をあけてみると、中には朝だからなのか、大勢の冒険者がいた。奥にあるカウンターの中で、一番空いていそうなところに並んでいると、後ろから絡まれた。「どけよ!ガキが。邪魔なんだよ。」そう言ってきたのは、朝っぱらから、酒を飲んでいそうなガタイだけいい男だった。ただし、酒臭い。「すいません。私並んでいるんですけど。」いきなり順番抜かしをしてくるのにイラっときて言い返すと、冒険者は、「ああ? ガキ風情がⅭランク冒険者であるこのガンドラ様に意見するのか? てめぇいい度胸してんな。 そんなクソガキは俺が教育してやるよ!」そう言ってきた男は、キレ気味になりながら拳を振り上げてきた。テネレッツァに当たる瞬間、一人の女性がその男の拳を片手で軽々と止めた。その女性は、不機嫌な顔をしながら、「Ⅽランク冒険者が、冒険者登録もしていない子供に絡むのかい? 感心しないねぇ」と言いながらテネレッツァと冒険者の間に立った。「誰だてめぇ? 俺に喧嘩うんのか?」そう言いながら近づいていこうとすると取り巻きの一人が「そいつはやべぇです。sssランク冒険者のヴィゴーレです!」そう言い、ガンドラを止めようとした。「なに⁈ こんな奴がsssランクだと?」ヴィゴーレは不機嫌そうに言う。「そういうことだ。喧嘩売るってんなら買ってやるが?」ガンドラ達は、後ずさりしながら、「覚えていろよ!」と周りを威嚇するように出ていった。「ふう、危なかったねぇ、大丈夫だったかい?」テネ







